5Gの50倍?6G通信はいつ来て、何ができるのか。各社の構想は…

 各通信キャリアにおいて、ようやく5Gが使えるエリアが拡大してきた。直近の5G通信の人口カバー率の目標としては、現状では以下の通りとなっている。
(※楽天モバイルの人口カバー率は、4Gの時点でまだ3社に大きく劣っているため、省略)

キャリア時期人口カバー率目標
NTT docomo2021年度末55%
KDDI2021年度末90%
Softbank2022年春90%

 KDDI、Softbankが明らかにリードしているが、当然人口カバー率90%が最終目標ではない。各社、ここから数年かけて5Gのカバー率を拡大していく予定だ。

 さて、そんな5Gもまだ普及しきっていない世の中ではあるが、既に6Gの構想が始まっている。

 世界的には「Next G Alliance」という6G推進団体に多くの著名な会社が加入しているし、Samsungなどの企業は既に6Gに向けた試験も行なっている。

筆者メモ

無線通信は、世代が上がるたびにグローバルな協力体制がどんどん高まっていく印象ですね。

 

 日本ではNTT docomoKDDIがホワイトペーパーを昨年から公開しているし、Softbankもその研究開発にかなり積極的だ。

 そこで今回は5Gから6G通信になるとどう変わるか、また各社はどんな「6Gの世界」を想定しているかをまとめていこうと思う。

6Gは仕様レベルでもまだまだ未熟です。正確な予測は誰にもできません。

どれくらい速くなる?

 無線通信は世代が上がるごとに「高速・大容量化」していく。ここには実に様々な要因があるが、主たる要因は利用する周波数が高く、広くなっていることにある。

 これまでも、3G→4G→5Gと進化するにつれ、数百MHzから5GHz前後(Sub6)の周波数へと進化してきた。更に5Gでは今後、28GHz前後やそれ以上の周波数帯である「ミリ波」の利用が予定されている。

 6Gではこれが更に高周波帯・広帯域になることで高速化していく。2021年6月にSamsungが6Gに向けた試験を行った際には、150GHzという高周波数帯が用いられた。将来的に6Gではテラヘルツと呼ばれる超高周波数帯(100GHzから10THz程度)が使われるとされている。

筆者メモ

ちなみに数THzからは「電波」ではなく「光」と呼ばれてきた周波数のようです。工学における分野が変わるほどの話ですね

 

 通信速度について、国内各社はホワイトペーパーにて次のように表現している。

 NTT docomo: 「最大で100Gbpsを超える」
 KDDI: 「5Gの10倍以上、サブテラビット級の通信速度」
 Softbank: 「5Gの10倍の速度」

5Gの最高速度が現時点では10Gbps程度であるため、その10倍以上は100Gbpsということになる。各社、6Gは100Gbpsを超えることを想定していると言える。

 世界的にも100Gbpsから1,000Gbpsといった、いわゆるサブテラビット級を想定している団体が多いようだ。中には「5Gの50倍」「テラビット規模」などと表現しているものもある。

筆者メモ

低遅延性も大事ですが、とりあえず高いビットレートだとわかりやすくてワクワクしますね

6Gはいつ来るのか?

 結論から言うと、2030年以降となる。

 KDDI、NTT docomo、Softbankの各社は明に表現していないが、「2030年以降に商用化」「2030年代の社会基盤」などとしていて、2030年以降になるのは間違いないだろう。海外では2028年に仕様を確定させたい、としている企業もあるが、それでも商用化は2030年前後になる。

 これまで、3Gが2000年前後、4G/LTEが2010年前後、5Gが2020年前後となっていたため、妥当な流れと言えるだろう。

 ただ、5Gがミリ波ではなくまずSub6の運用を初めるように、2030年の時点では100GHz前後の周波数帯から始まって徐々にテラヘルツ帯も視野に入れていく、というのが妥当なステップだろう。

筆者メモ

テラヘルツ帯の利用は、更に後になるんじゃないかなあ、と思っています

何ができるようになるのか?

 筆者が各社の情報を読んでいて、圧倒的な共通項だと感じたのは「高い網羅性」である。5GでもIoTやIoEといった言葉で「全てのものがインターネットにつながる」といったことが見込まれていたと記憶しているが、6Gはその何歩も先、という印象だ。

 というのも、船舶や航空機と言った、陸上以外のデバイスもカバレッジに含んでいるからだ。これまでのように陸上の人や物がカバーできればよい、というレベルよりも遥かに高い。

 端的に言えば、通信機能を備えた物であれば、どこでも、どんな量のデータ通信でも行うことができる、というのが6Gの目指しているところだろう。

 

 もう少し生活に寄り添った例で、各社がどんなユースケースを考えているかを見てみよう。

 その夢のような速度やカバレッジとは裏腹に、各社が想像しているのは思ったよりも現実的な世界だ。もちろん夢物語的な例もあったが、現実的に想像しやすいものが多かったため、それらを挙げていこう。

 例えば、全社共通してあげているのは「コネクティッドカー」である。その低遅延性と高速・大容量性から、自動運転などを行うのに十分な情報を通信することができるというものだ。

 現時点で自動運転が達成されないのは、社会的要因を除くと、通信技術の不足というより、人工知能の判断力不足によるものと見られるため、一見あまり本質的ではないように思える。

 一方で、それこそ車同士がセンサやカメラの情報を遅延なく大量に共有できれば、自動運転の精度向上に繋がるかもしれない。通信技術の向上が別の技術の発展を助長する例とも言える。

 それ以外にも例えばNTT docomoのホワイトペーパーでは、自動対話型ロボットも例に挙げられている。

 当然ロボット自体に大きな処理能力やストレージを載せるのは難しいため、「カメラやセンサによってロボットが得た情報をサーバに送り、サーバが導き出した行動や言動をロボットが受信し、実際に言動や行動を行う」というように、通信速度が重要となるようなステップを踏む。

 ある意味昔ながらの「サーバ・クライアント型」のアーキテクチャの通信だが、ここが高速・大容量・低遅延化すれば、ユーザの体験は大きく向上する。

 他にもゲーム機、VR、ARと言ったキーワードも各社取り上げている。VR機器も今は有線で、自宅にある高性能なパソコンやゲーム機によって処理を行ってどうにか体験できている。

 これが無線でサーバに視線情報を送信して、クラウド上で処理をして、帰ってきた映像を見ることで体験ができるようになるかもしれない。

 つまり、自宅に高性能な機器を置くことなく、誰もが当然のようにVRやARを体験できる、というのはとにかく通信が高速であれば実現されうる。6Gが実現した際には十分考えられるだろう。

筆者メモ

各社、「あとは通信速度が速ければできる」ことが無難に実現されていく、ことを見込んでいるように思いました。想像しやすい例を示してもらえるとわかりやすいですね。

もちろん、想像もできないようなことが実現することにも期待です。